はじめに
CTAは、乱流中の構造体の研究用として最適の測定手法です。
その動作原理は、加熱された物体上の流れの冷却効果に基づいています。CTAは、1点で速度を測定し、連続的な速度時系列の情報を取得・処理することによって、振幅と時間領域の統計を割り出すことができます。例としては、平均速度、乱流強度、高次モーメント、自己相関、パワースペクトルなどが挙げられます。

シリンダーからの熱伝達
熱線からの対流熱伝達Qは、速度U、熱線の温度過上昇Tw -T0、および流体の物理的特性 (k、r、m) の関数です。流れの方向に垂直に配置された熱線QとUの間の基本的な関係は、L.V. King (1914) によって提案されました。最も単純な形では、以下のようになります。

ここでは、Awは線材表面積、hは熱伝達係数であり、これらは校正定数AとBに統合されます。

CTAの原理
熱線Rwは、ホイートストンブリッジ回路の1辺に接続され、電流で加熱されます。
サーボ増幅器は、センサーへの電流を制御することによってブリッジの平衡状態を維持し、流体による冷却とは無関係に、抵抗つまり温度が一定に保たれるようにします。ブリッジ回路の電圧Eは、熱伝達を表すため、そのまま速度の測定値になります。センサーの低い熱慣性とサーボループ増幅器の高い利得が組み合わされることによって、流れの変動に対して非常に速い応答が得られます。
プローブ
CTAプローブには通常、針状の支持針 (プロング) 2本に取り付けられた、長さ1 mm、直径5 μmのタングステン熱線センサーがあります。1線、2線、3線のプローブがご利用いただけます。液流には、薄膜センサー付きの膜プローブが推奨されます。


周波数応答
システム帯域幅fcは、信号振幅が -3dBごとに減衰される周波数として定義されます。帯域幅は、熱線時定数の減少、サーボループ利得の増加、および流速に伴って増加します。5 mmの熱線プローブを使用したCTAの帯域幅は、30 m/秒で約100 kHzです。当システムは、ブリッジ回路上側に方形波電圧を印加し、サーボループ利得を調整することで最適化されています。

速度感受性
ブリッジ回路の電圧と速度の関係は、指数関数または下記の多項式として記述することができます。

相対速度感受性1/U · dE/dUは、広い速度範囲にわたりほぼ一定です。既知の流れにおける校正は、プローブ電圧を速度に変換するために使用される曲線あてはめ (線形化) の基礎となります。
方向感受性
熱線は流速と方向の両方に敏感であるため、直交に配置された熱線は両方の情報を提供します。3次元の流れ内にある熱線の有効冷却速度は、以下の式で表すことができます。

2線および3線プローブの実効冷却速度の式は、速度成分を提供することによって解くことでができます。ピッチ角係数kとヨー角係数hは、方向キャリブレーションによって決定されます。

温度感受性
ブリッジ回路の電圧は速度と温度の両方によって左右されます。1 Kの変化により、約2 %の速度誤差が生じます。電圧は、線形化の前に、校正時と測定時との間の温度過上昇の比を使用して補正することができます。


データの変換・整理
ブリッジ回路の電圧は、適切なローパスフィルターを通過後、高速A/D変換ボード (最大1 MHz以上) を介して取得されます。これらの電圧は、次の3段階において工学単位に変換されます。
- 温度補正
- 線形化
- 速度成分への分解
変換されたデータは、フロー統計に整理されます。